2.プロローグ

 その夜の初日カンパイの酒は美味しかった。

 自宅に帰っても友人の言葉に酔いしれた。鼻歌が止まらない。

二匹の愛犬、チワワのポンとロコが不思議そうに顔を見合わせた。

ご機嫌の主人の様子が嬉しいのかその夜はどこに行くにもついて歩いた。

キッチンの冷蔵庫からビールを取り出すときも、洗面台で歯を磨くときも、風呂に入ってるときは脱衣所でお座りをした。

                

「あーさっぱりした」。

風呂から出てきた涼風せいらはおっさんだったがポンとロコには見慣れた顔だ。

【つづく】

令和2年5月2日