散歩道を歩きながら考えていた。
芝居を打つことは簡単なことではない。劇場、スタッフ、キャストを押さえることはもちろんだが、最大の問題はホンと演出だ。
「伊賀の花嫁」シリーズは作・演出家のカッシーのオリジナルなので仮に番外編で自分が主役の物語をやるとしてもあの男の許可が必要だ。

そして許可をもらうと同時にホンを書かせる。
それもタダで。

さてと、どうやってあの男を口説き落とすか。正面攻撃でグタグダと時間を使うよりは弱みを握って脅すか、フフ、楽しくなってきたわよー。
ポンとロコは主人の顔を見上げながら、
ウチのおっちゃん、今夜は悪い顔をしてるなーと思った。

【本編へつづく】
令和2年5月3日