「いやいや待てください。奈緒美さんがどうして現れないのかも分かってないし。あと、涼風ママが、いえ、尚太郎青年がどうして涼風ママになってしまったのかも不明のままですよ、気になりますってー」と三四郎は訴える。
「オレが気になるのはふる里のほうだ。星一徹ばりのオヤジさんと残された弟と妹、どうなったんだ?」

「そーですそーです、そっちも知りたいです」
「だよねー知りたいよねー。マスターもそうでしょう?」
マスターは伏せ目がちに「はい」と囁くと--。
「終りきれてないことが多すぎます。その後の才蔵とアロハはどうなったのか? 情報屋ガッキーとアーヤン、ミンソンとジホたちはどうなったのか。あとダンサーを夢見てる慎一くん、モデルを夢見た浩輔くん、いい人のおっくん、それと最後に出てきた不気味な男は何者なのか、全てが中途半端です、ハッキリ言ってストレスです」

「え? あれ?」
「どうしたの三四郎くん」
「そもそも、この物語って今年五月の『ママの里帰り』の公演が中止延期になったことではじまったんでしたよね」
「そうだよ」
「そしてママがどうやってメンバーを集めたかって…そういう流れでしたよね」
「そうだ、そうだった」
「その話だって結末迎えてないし、全てが気になります」
三四郎とランランは顔を見合わせて叫んだ。
「気になるってー」
「ムズムズするー」
「続きを知りたいってばー」

では、もう一話だけ。
令和2年7月28日