98.雨のち晴れ 35話

 今、一番知りたいことを教えろとアロハに問われた才蔵は悩んだ。なんだろ?なんと答えればアロハは納得するのだろうかと悩み、考えた。あ、なるほど…正解が見えたぞ。才蔵はアロハを見て、そして言った。

            

「アロハ。おまえって彼女いるの?」

           

「関係ねえよ、そんなこと、いねえよ、欲しいよ、すっげえー欲しいよ。だけど今の流れに全然関係ないからね。それが今一番知りたいことなの?バカじゃねえの、今日は98話、あと三つで終わるんですよ、この物語に心残りはないんですかーつう話でしょうが!」

        

「あ…そういうことか」、才蔵は赤面した。

               

               

「あーガチで頭悪いなー才蔵デカはー。ガッキーさん、あなたはどうなんですか?最後に知っておきたいこと、ありますか?」

          

「あ…オレは…」

          

 ガッキーは天井を見つめた。

            

 知りたいことは山ほどあった。涼風さんの謎のチケットの女、その人との関係も知りたい。あと、尻に座薬を挿れるとき、どんな気持ちなのかも知りたい。そんで座薬を押しこむときって指も尻の中に突っこんじゃうのかも知りたいし、そのあとにウンコ臭くなった指をどれだけの勢いで洗うのかも知りたい。お・・・!びっくりしたぜ、俺の知りたいことって尻周りのことが多いじゃん、やべえよ、こんなことをアロハに言ったら本気で怒られるんだろうな〜と思った。

         

 フト、アロハと目があった。怒り心頭、そんな目つきだ。

          

「今、真剣に考えてるから、もうちょっと待って」

         

「待てねえよ、どんだけ文字を使ってんだよ。ガッキーさんの言葉を待ってるだけで今日の分が終わっちゃったよー」

         

                

「ええっ!」

          

ガッキーと才蔵が叫んだ。

              

「残り二話だよ!」

             

「待って待って、待ってくれよ!」

               

 その頃「やしろ荘」の住人たちも慌てていた。

              

「待って待って、俺と尚太郎の青春はこれからだよ」慎一が叫び、「いやいやいや、俺の努力のGo to パリコレを見て欲しいよ、そこ俺の人生の頂点なんだよー」浩輔が叫び、「つまらんぞーこがいな終わり方は!わしゃ来年卒業する日に尚太郎に接吻するって決めとったんだ、それを見て欲しいんじゃー」、おっくんは泣き叫び、「僕はずーっとモノクロなんだぞ、カラーにしてよー」と北別府は便所の掃除道具を掲げて叫び、謎の住人の男は動揺を隠せない様子だ。「あの、俺、まだ名前すら名乗ってないんです、これから尚太郎との絡みも出てくるんじゃなかったの?嘘でしょ、このまま消えちゃうの?」。武雄は一升瓶を抱いて廃人のように眠っている。サチ子もよしえもさけんでる。「私のOL生活、不倫してのドロドロ話をするんじゃなかったのー」「私のバンドマンとしての涙、涙の話はしないのー」そして奈緒美も「オーイ、私の謎は?ちょいとーもしもーし」

         

 兎にも角にもだ、昭和と令和の出演者たちは大慌てだ。

             

             

【つづく】

令和2年8月6日