「203」。
手紙の裏に書かれてる武雄の部屋番号だ。
部屋は二階だとわかるのだが二階へと上がるための階段はここで良いのかと悩んでいた。
木造の階段の一階部分には上田清明小学校の時と同じような靴箱が両脇に並び、そこには男物女物の靴がずらりと詰め込まれていて、靴泥棒がいたらお好きなのをどうぞ、というほど無防備な玄関だった。
佇んでいると階段を降りてきたスーツ姿のサラリーマンが、なにキミ?という顔をしたので尚太郎が武雄の名前を出すと男は不機嫌そうな顔をして
「ああ、彼、まだ寝てんじゃないのかな?」
と二階を顎でしゃくった。

令和2年5月15日