90.雨のち晴れ 最終話

 涼風せいらは夜の六本木を颯爽と歩きながら

           

「あ〜今夜は喋りすぎちゃった。」

         

「これ以上はダメよダメダメ、人間は秘密があるほうがいいのよ、フフフ」

            

とネオンと人波に消えていった。

               

         

【終わり】

令和2年7月29日

                 

           

 タクシーに手をあげようとした涼風の手首を人波からヌゥーと現れたゴツゴツした手がムギュッと掴んだ。ヒッと振り返った涼風の目の前にアクア九条が立っていた。

「あんた、ひとり逃げは許さないわよ。あたしとのケリはついてないのよ、チケット一枚譲りなさいよー」

              

【そんなわけで、もう少し、つづく】